冬に感じる生き物たち

創刊号コラム:2007年 2月 24日
吉岡明良 (東京大学大学院、エコカフェニュースレター編集委員)

環境保全の重要性はそれなりに認識されつつある今日この頃だが、ともすれば私達は「守りたいもの」が具体的に何であるのか見失いがちになっていないだろうか。おそらく豊かな自然、生物多様性もその「守りたいもの」の中に入っているはずなのだが、それを実感していくこともそれを守っていく上で重要ではないかと思う。そのためにも、都市部に住む人々は殊更、四季の自然、生き物を感じる時間を大切にしてほしいと感じる。

だが冬は寒い。1月の東京都の最低気温は 5℃前後、都市部はヒートアイランドとやらで以前より暖かくなってしまっているとはいえ、誰でも多少は外に出るのが億劫になる。

暑い夏も外に出るのが億劫になるが、それでも一旦出かけてみれば所かまわずセミがやかましく自己主張している。春の生命力旺盛な新緑や秋の紅葉、虫の音は市街地にいても感じることができる。

しかし冬の生き物たちは実に消極的だ。彼等の息吹を感じるためにはちょっとした注意力が必要になる。

例えば野鳥だ。秋から冬にかけて多くの野鳥が渡ってくる。少し注意してみればいつでもいるスズメやカラスとは違う面子がいるのに気がつくだろう。ジョウビタキやツグミなら市街地でも緑の多いところなら見られるはずである。木々の葉が落ちているのも普段は見られない小鳥達を観察しやすいものにしている。

都市部から出れば他の季節との違いは歴然である。ラムサール条約に登録されているような湿地に行けば多くのガンやカモ、場所によっては白鳥やツルにも出会うことができる。また冬の山の中では雪の上に哺乳類の足跡を見かけることもある。こちらが積極的になりさえすれば次々と冬なりの生き物との出会いが待っているはずである。

俳句でも兎や鴨等、冬の季語とされている生き物は少なくない。先人は立派に冬の生き物を感じていたのである。こたつから抜け出して、冬の生き物たちにちょっと注意を向け、日本の自然と文化に思いをはせてみるのもよいだろう。

裏磐梯の毘沙門沼
裏磐梯のウサギ足跡
千駄堀池の渡り鳥たち

最終更新日:2012年 08月 16日
掲載/更新日:2007年02月24日 / 編集

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