森里海学びツアー in 志津川・気仙沼 / 地域と大学と NPO の出逢い

寄稿エッセイ:2008年 10月 19日
山崎俊巳 (エコカフェ運営評価委員)

秋の深まりに紅葉狩りの気の聞いたお話でもできればよいのだが、この夏の深い思い出を紹介させていただきたい。

8月 20日、今回の最初の訪問地志津川の空は曇よりと低く、空気は湿っぽく重く、風は冷たく肌寒いほどだった。今回の目的は森里海の繋がりを学ぼうというものである。

志津川湾は広大で、湾内一面にホタテ、牡蠣、ホヤなどの養殖筏の浮が無数に整列し、風光明媚な湾である。湾の一角、南三陸町戸倉の岩礁で、京都大学フィールド科学教育研究センター (白山義久教授) が日本財団の協賛のもと進める国際的な「NaGISA プロジェクト」に京大生やエコロジー・カフェの他の会員とともに参加した。

学生らと記念写真
NaGISAプロジェクト(1)
NaGISAプロジェクト(2)

このプロジェクトは世界中の沿岸域に生息する海洋生物の生息や多様性などを統一した方法で調査するもので、現在 55ヶ国が参加し、国内では 7ヶ所の調査地点を数える。沖合で暖流と寒流がぶつかり、山が海に落ち込むリアス式の南三陸町の海岸は、まさに調査にはもってこいである。

今回の調査ではフジツボ、ヒザラガイ、ゴカイ、イソガニ、ヨコエビ、カイメンなどを多くの海洋生物を採取することができ、自然環境活用センター (横浜康継所長) の施設内で分析をしたところ、6月に調査した小笠原父島に比べて海洋生物の多様性が極めて高く、個体数も多いことがわかった。

海洋生物の分布や多様性の推移を調べることで地球温暖化などの影響や進み具合を監視することができる。温暖化ガスである CO2 (二酸化炭素) は海水に溶けると海水を酸性化させ、酸性化した海水では牡蠣やウニの赤ちゃんは炭酸カルシウムの殻を上手に作ることができないことが知られている。

翌 21日、冷たい小雨の中、一行は気仙沼唐桑に移動。湾に突き出た幕張りの簡易な教室で、途中、激しい暴風雨と雷に震えながらも、畠山重篤さん、白山先生から森と海の繋がりの大切さ、自然と人とのかかわり方について多くを学んだ。

矢越山ひこばえの森看板
矢越山から市街地を眺望
ひこばえの森で記念写真

23日、雨は降らなかったものの天気はいまひとつ。それでも一行は地元の高校生らと一緒に舞根湾(汽水域)での海洋生物調査。ここでは天然ウナギまでも捕獲し、この地の豊かな生態系に心底驚いた。このような調査は、地元、大学、NPO が協働することで継続が可能となろう。今後も積極的に参加したい。

最後に、これからも自然を愛し、自然に癒され、自然に多くを学んでいきたい。そして自然に存在するものすべてに意味があり、多様であるから美しく、多様であるから強いということを多くの人に伝えていきたい。

唐桑湾で講義を
海の生き物たち
天然ウナギ
最終更新日:2012年 08月 16日
掲載/更新日:2008年10月19日 / 編集

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