海の砂漠化 - 珊瑚の白化現象からみる海の生態系 -

寄稿エッセイ:2011年 1月 31日
阿部清美 (エコカフェ事務局次長)

珊瑚の産卵は神秘的であって、水温が 24度以上の満月の夜に行われるそうです。産卵することからもわかるように珊瑚は、植物ではなく動物なのですね。しかし、自分で動くことはできないため、生息している周辺の環境が悪化するとダメージを受け白化してしまうのです。

珊瑚の広がる海は、生態系がバランスよく保たれている豊かな海だといわれていますが、最近では美しい色とりどりの珊瑚が次々と白く少なくなっているという報告が相次いでいます。海の砂漠化ともいわれる珊瑚の白化現象なのです。これは地球温暖化の影響が海中にもたらしている目に見える大きな変化として知られています。

珊瑚の中には渇虫藻という藻類が共生、住み着いています。この渇虫藻は植物なので二酸化炭素を吸収し、光合成を行い、酸素とエネルギーを生み出しています。このとき作り出される栄養分と酸素を珊瑚がもらい、代わりに光合成に必要な二酸化炭素を渇虫藻に供給しているのです。お互いに必要なものを供給し合い共存しており、渇虫藻の色素が珊瑚をキレイにみせているのです。

この渇虫藻が海水温度の上昇に耐えられないため珊瑚から離れることにより、陸地の森林と同じように二酸化炭素を取り込み、酸素を作り出すメカニズムを持った珊瑚の白化現象が引き起こされるのです。このことにより、海水中の溶け込んでいる酸素濃度も低くなり、珊瑚礁の活力が失われ、珊瑚礁で子育てをしている魚さえも住めなくなってしまうのです。つまり、食物連鎖で小さい生き物が減ることで、より大きな生き物、魚が減るといったことが起こります。海の生態系は、急速にバランスを失ってしまうことになるのです。

この白化現象は水温が 1.5 から 2℃上昇し、珊瑚礁の海水温度が 30℃前後になると起こるといわれています。人間の感覚では、それほど変わらないと思うかもしれないが、熱しやすく冷めにくい海水の温度変化のインパクトは陸上の二倍にも匹敵するそうです。逃げ場のない珊瑚にとっては、特に影響を受けやすいということです。

きれいな珊瑚が見られなくなるということだけではなく、温暖化を促進させる私たち人間を含む生態系全体にも大きな影響を与える現象の一つと捉えることができるのです。

慶良間諸島付近の珊瑚環礁
小笠原母島列島向島近くで
最終更新日:2012年 08月 16日
掲載/更新日:2011年01月31日 / 編集

▲このページのトップへ