三宅島植林ツアー 2010 報告書

実施: 2010年 11月 26日(金)〜 28日 (日)

概要

名称

三宅島に緑を!第二回エコカフェみんなの森づくり

目的

昨年 5月に実施した「三宅島に緑を!第一回エコカフェみんなの森づくり (報告書) に引き続き、2000年に噴火した三宅島の雄山の山腹溶岩原の植生回復を人為的に少しだけ促進するための 2回目の植林プログラムを実施する。

植林に利用する苗木はヒサカキ、ヤブツバキ、オオバイボタの 3種類で、三宅島森林組合が島に自生する樹木の種子から育てたものである。

森林の植生回復速度が増すことから昆虫や鳥類へどのような影響をあたえていくのか、昆虫や鳥類の棲みやすい環境はどのようなものか、などについてモニタリングする方法を提案することを目指す。

実施日

2010年 (平成22年) 11月 26日 (金) 〜 28日《3日間》

参加者

16名 (うち現地指導者 6名)

実施者

  • 主催:NPO法人エコロジー・カフェ
  • 協力:三宅島森林組合、三宅島村役場、三宅島観光協会、株式会社旅職人

ご案内

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行程表

日付時刻概要天気
26日
(金)
21:30竹芝桟橋 (第1ターミナル) 集合曇り
22:20竹芝桟橋出航 (条件付き)
27日
(土)
5:00三宅島着 (伊ヶ谷港)、バスにて移動、宿「天狗屋」で仮眠曇り時々小雨
8:00起床、朝食
9:00宿を出発。途中、ハチジョウススキの観察
9:30
〜10:40
植林活動
・指導:守谷組合長 (森林協同組合) ほか 5名
10:50
〜11:40
強風の中、雄山が見える手前の山頂から噴煙を観察。車で移動し、2009年 5月の植林場所に移動し、苗木の定着状況を観察
12:00三本岩を眺めながら、昼食
12:55
〜13:30
火山原 (阿古地区にある阿古溶岩遊歩道) とメガネ岩を散策
・講師:阿部清美
13:50
〜15:00
三宅島温泉「ふるさとの湯」で入浴
源泉かけ流しの湯であるが、露天風呂の湯はかなりぬるい
17:00
〜17:45
ミニ講義「三宅島の昆虫について」
・講師:鎌田主事 (三宅村産業振興課)
18:00夕食・懇親。鮮度抜群の魚尽くしに満足
22:30就寝
28日
(日)
8:00起床、朝食小雨時々曇り
9:00
〜10:50
(1) 海釣りチーム
坪田港岸壁で太公望
(2) 散策チーム
大路池及び湖畔植生、迷子椎など照葉樹林を散策。車でわずか移動し、新澪池跡、新鼻新山を視察
12:00合流し、昼食
14:30三宅島出港 (伊ヶ谷港) (波風のため 10分遅れ)
21:00竹芝桟橋到着。解散

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概要

1日目の活動

三宅島森林組合長の森野さんから作業説明を受け、作業指導員3名と役場産業振興課の鎌田さん、石田さんが作業指導役となり、雄山山腹傾斜地で、2人 1組になり、鍬で直径20cm、深さ20cm程の穴を掘り、ポットを外した苗をていねいにその穴に入れ、土を掛け、足で踏み固め、ハチジョウススキなどの枯葉を乗せる作業を行いました。ヤブツバキ、ヒサカキ、オオバイボタの 200本の苗の植林作業は、昨年よりも地面が作業しやすい場所であったこともあり、極めて順調に終了することができました。終わった頃にやや雨足が強くなってきたので、土が流れないか心配であったが、土の踏み固めと乾燥防止の枯葉の覆いをしてあるので、雨はむしろ恵みの雨となり早く根付くことの助けになるのではないかと安心しました。


植林活動を終えて、一行は雄山が見える手前の山頂に登りました。雄山からの噴煙は確認できませんでしたが、山頂付近の地面は真黒なスコリアに覆われ、不毛の地と化していました。山頂は海からの南西の風が強く、とても肌寒く感じました。早々に引き揚げ、昨年に植林した苗木の定着状況を観察しに車を走らせました。ハチジョウススキ原が深く確認しづらかったのですが、鎌田さんの話では森林組合の方がたが見守りをしてくださっていたとのこと、無事定着していることが確認できました。


すっかり雨も上がり、昼食後、1983年 (昭和58年) の大噴火に伴う溶岩原 (阿古地区にある阿古溶岩遊歩道) と、メガネ岩が見える海岸断崖を散策しました。溶岩上にソナレムグラ、タイトゴメがわずかに自生していいました。散策後に汗を流し、疲れをとるために町営温泉「ふるさとの湯」でゆっくりしました。露天風呂のぬるさが時間を止めてしまうかのような錯覚を誘います。


宿に戻り、夕食前に、三宅島村産業振興課の鎌田主事から「三宅島の昆虫について」と題して、三宅島の森林生態系と生息する昆虫についてのミニ講義をしていただき、意見交換も行いました。今年、一部のスダジイにカシナガキクイムシが発生したため原因と対策について調査中であるという。(⇒ 講義・意見交換の内容)

三宅島の森林植生は海岸性の常緑広葉樹 (照葉樹) の深く暗い森である。高木層はスダジイ、タブノキ、ホルトノキなど、亜高木層はヤブツバキ、低木層はヒサカキ、オオバイボタ、アオキ、草本層はツワブキ、シダ類などが繁茂している。

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2日目の活動

一行は海釣りチームと散策チームに分かれたが、ここでは散策チームの活動をレポートをします。案内は旅職人の遠藤さんです。大路池は 2千年前の火山噴火で出現した火山湖であり、周りはタブノキやスダジイなどの照葉樹林が迫っている。一行 6人は、湖畔に着いたときに一時、通り雨に会いましたが、休憩所でのんびりと雨が上がるのを待ちながら、雨音に包まれる湖面と背後の断崖や傾斜地を静かに眺めました。火山性ガスの影響と思われる立ち枯れした木々が黒々としたタブノキやヤブツバキなどの照葉樹林と生と死のコントラストを演出していて、改め火山島で生きることの厳しさを思い知らされた。


湖面には雨を気にすることもなく渡り鳥のオオバンが集団でのんびりと羽を休めていました。天敵がいないのでしょう。一見静かに思える大路池にはとある人がブラックバス、ブルーギル、ヌマチチブの外来種を放流したため、本来生息していたヌマエビ、ワカサギ、固有種のタイロモなどは絶滅し、生態系は破壊されてしまっているそうです。湖畔の植生観察では、ハマコンギク、オオムラサキシキブ、キセルアザミ、シシウド、テリハノブドウなどを確認しました。三宅島はバードアイランドと言われるように、春から初夏にかけての繁殖期には最強天敵のヘビがいないこの島に、伊豆七島中から多くの鳥たちが集まるという。しかし、三宅島には生息していなかった天敵のイタチが持ち込まれ、今は繁殖をしているのも事実である。ぜひ恋の季節に再訪したいと思った。


湖畔南側に広がる照葉樹林の森の中で「迷子椎」と呼ばれる推定樹齢 600年のスダジイの大木に逢いました。(⇒ 迷子椎) 度重なる噴火に耐えて生き抜いてきたその姿は、村人でなくとも「島の守り神」そのものであると悟るに時間を要しなかった。照葉樹林の森の林床にはハナミョウガ (花茗荷) の一種のアオノクマタケラン (青の熊竹蘭) がよく見られた。この植物は常緑多年草で花は初夏のころに咲くそうだ。

続いて、火山活動を阿古地区の溶岩原とは異なった痕跡とされる新澪池跡と新鼻新山を訪ねた。1983年 (昭和58年) の噴火活動の際に、新澪池でマグマ接触による水蒸気爆発が起こり、一瞬にして干し上がってしまったという。今日では新澪池跡の大きな窪地には植物が逞しく進出している様子が観察できる。この噴火活動では三宅島南西の山腹割れ目噴火も発生し、流れでた溶岩流やスコリアなどが堆積し、その後の浸食を耐えて小高い丘として新鼻新山を見せている。高さは30mほどで海側は断崖絶壁となっているが、森本さんらは頂上まで登っていた。


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コメント

三宅島にける植林活動も 2回目となり、異なる季節での活動となったことから、サブプログラムである散策や観察なども新鮮な感覚で行うことができた。特に、植林活動や関連するサブプログラムでは、

  1. 森林組合、三宅村役場の方とも気さくにお話をすることができたこと
  2. 初回に参加したメンバーが、初参加のメンバーをサポートすることができたことから、効率的な植林活動ができたこと
  3. 前回の植林した幼木の定着状況、生育状況を観察することができ、今回の植林の一年後の姿を想像することができたこと
  4. 植林活動に関連して、ミニ講義「三宅島の昆虫について」を行うことで、三宅島の照葉樹林の森についてより理解をすることができたこと

など、から今後の植林活動を継続する上で、チームワークの在り方、記録の取り方、植生回復や昆虫相など生態系全体の回復状況を観察するなどの付加価値の導入の在り方についてもヒントを得ることができた。

今後とも、参加者の希望を踏まえながら、植林活動を単なる木を植えるという行為に止めず、その背景にある森林の役割や多様な生き物が暮らす生態系としての森林の意味、火山という自然活動の現象面だけではなく人々の暮らしとどう結び付くのかを理解するきっかけを提供したいと思う。

(報告担当者:山崎 俊巳)

エコカフェ公式ブログ速報 (植林活動関係)

掲載/更新日:2011年03月21日 / 編集

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