皆既日食ツアー報告書 [5周年特別企画]

実施: 2009年 (平成21年) 7月 20日 (月) 〜 25日 (土)

概要

○ 名称

皆既日食ツアー 〜小笠原諸島・母島近海で観る〜

○ 目的

日本領土内で観られる 46年ぶりの皆既日食を東京から南に約1000km の太平洋上にある小笠原諸島母島の近海において五感で体感することを目指す。また、この皆既日食の観察にあわせて、京都大学フィールド科学教育研究センターと協働して、昨年 6月の小笠原諸島父島に引き続き沿岸域の海洋生物を調査する「NaGISA project」を母島においても実施することにより、国際プロジェクト「Sensus of Marine Life」に貢献することとする。

○ 実施日

2009年 (平成21年) 7月 20日 (月) 〜 25日 (土) 《6日間》

○ 実施者

  • 主催:NPO法人エコロジー・カフェ
  • 後援:京都大学フィールド科学教育研究センター
  • 協力:母島観光協会
  • 旅行企画・実施:株式会社ナショナルランド

○ 参加者

14名 (会員3)

○ 関連事項

今回は、株式会社eTEN様、株式会社ニワンゴ様、スカパーJSAT株式会社様、日本無線株式会社様が小笠原母島より日食生中継を行った。

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行程表

日付時刻概要天気
20日
(月)
10:00竹芝桟橋おがさわら丸出港曇り
14:00
〜14:45
ミニ講話「小笠原皆既日食についてのちょっと詳しめのQ&A」
講師:官谷幸利
21日
(火)
11:50父島二見港入港(20分遅れ)晴れ
12:30父島二見港ははじま丸出港、時間がないため船内でお弁当
14:40母島沖港入港
15:30
〜17:30
母島集落散策ツアー「母島の生活史を学ぼう」
ガイド:梅野ひろみ
19:00
〜20:00
夕食後、希望者は村民会館で国立天文台職員田村さんによる講演会「太陽をはかる、地球をはかる」に参加
22日
(水)
8:00
〜12:51
皆既日食ツアー「皆既日食を五感で体感しよう」
・遊漁船 (RYOUTOKU丸、秀洋丸) に分乗し、母島沖 20海里の太平洋上の皆既日食エリアで皆既日食を観察
晴れ
12:51
〜15:00
母島離島(向島、平島、姉島、妹島、姪島、二子島、丸島、鰹鳥島など)を船巡り
20:00
〜21:00
夕食後、希望者で夏の星空(天の川、はくちょう座、わし座、こと座、さそり座など)を観察
23日
(木)
10:00
〜15:00
「NaGISA project」(沿岸域の海洋生物調査)を実施
・8名参加し、母島北港の東側の岩礁で調査
※他の参加者は乳房山散策 (ワダンノキなど植生を観察)
晴れ
午後一時
スコール
20:00
〜21:30
ウミガメレクチャーに参加(「クラブノア母島」小笠原母島漁業協同組合)、レクチャー後に稚ガメを放流
24日
(金)
6:00
〜7:00
早朝、希望者は各自自由にバードウォッチング (イソヒヨドリ、トラツグミ、メジロ、メグロなど) 散策快晴
10:30母島沖港ははじま丸出港
12:50父島二見港入港
14:00父島二見港ちちじま丸出港
25日
(土)
15:55竹芝桟橋入港晴れ

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プログラム詳細

○ [1日目:7月 20日 (月) 曇り]

東京は曇り空。10時、竹芝桟橋を出港。25時間半の船旅の始まり。船内は皆既日食ツアー客で異常に混雑している。今回は初めて参加される方が多かったので体調に気を使いながらの旅となった。小笠原までの時間を利用して、特別に私たちのためにだけ、皆既日食についてのミニ講話を実施した。元国立天文台の官谷幸利氏 (現:韓国 延世大学 研究教授) から「小笠原皆既日食についてのちょっと詳しめの Q & A」とし題して、観測の方法のほか次のとおり日食について分かりやすい説明をいただいた。

  • 皆既日食は、太陽と月が地球から一直線上に位置し、月の 大きさを 1 とした場合に太陽の大きさは 400 となり、地球からの月までの距離を 1 とした場合に太陽までの距離が 400 であるために起こる現象である。
  • 金環日食は、月の周回軌道がやや楕円形であるために月の見かけの大きさが約0.49°から約0.57°の間で変化するため、太陽の見かけの大きさ約0.53°より小さい場合に起こる現象である。
  • 日食の起こる回数は、太陽の黄道と月の白道は約5.1°傾いており、交点は空に 2つあることから、年に 2回のチャンスがある。皆既日食になると世界のどこかで 2、3年に一度程度は観測されている。
  • 皆既日食では、温度 100万℃のコロナ、6000℃のプロミネンス、ダイヤモンドリング、月の表面の起伏のために起こるベイリービーズ、月が地球に落す巨大な影の柱である本影錐が水平線から秒速100km のすごい勢いで迫ってきて、また去っていく現象、海上では水平線上が 360度薄く夕焼けになる現象などが観測される可能性がある。
  • 次回以降、日本で観測される中心食 (皆既日食、金環日食) は次のとおりである。
    日時種類観測できる場所
    2012年 5月 21日金環日食南九州、南四国、南近畿、東海地方、関東地方
    2030年 6月 1日金環日食北海道
    2030年 9月 2日皆既日食能登、富山、長野、前橋、宇都宮、水戸
    2041年 10月 25日金環日食北近畿、中部地方、伊豆諸島
    2042年 4月 20日皆既日食鳥島 (伊豆小笠原諸島)
  • ミニ講話資料

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○ [2日目:7月 21日 (水) 晴れ]

前線が太平洋側に張り出していたため海も少し荒れたようだ。20分遅れの 11時 50分に父島二見港に着いた。ははじま丸に乗り換え、母島へ。到着後、ほんの少し休んでから、母島の人びとの暮らしぶりを学ぼうと「母島集落散策ツアー」に出かけた。ガイドは、昨年9月にも案内をしてくださった梅野ひろみさんである。

散策の行程は、1.母島観光協会、2.母島小中学校、3.ロース記念館、4.民家庭先の果物の木、5.母島診療所、6.清見が岡鍾乳洞、7.ウミガメ産卵場の順である。

  1. 母島観光協会では、資料を使い、母島の地勢などの概況、戦前の母島では森林が開拓され農業など活気があったこと、戦後本土復帰してからの暮らしぶりについて説明があった。昭和初期に食用として持ち込まれたアフリカマイマイ (寄生虫があるため食用にしていない)、米軍占領下の時にゴキブリ駆除のため持ち込まれたオオヒキガエル、ペットとして持ち込まれたグリーンアノール、捨てられたノネコなど外来生物が母島本来の固有種を圧迫しているとのことが印象的であった。
  2. 母島小中学校では、生徒 49名に対し先生 25名がいること、太陽光発電システム、雨水利用システムを導入していることの説明があった。 発電表示には、現在 23.5kw 発電しており、家庭 47戸分をまかなうに相当するとあった。また、今年度の幼稚園入園は 11名だったと嬉しそうに付け加えた。そう言えば小笠原は過疎化と高齢化が進んでいない不思議な島である。
  3. ロース記念館では、戦前の島の人びとはロースという赤みのある凝灰岩を利用して、竈や洗し場などを作っていたとの説明があった。この凝灰岩は鋸でも切れるそうだ。
  4. 通りに面した民家の庭先を見ながら、どこの家庭でもバナナ、パパイヤ、グァバ、レモンなどは自家生産のものを食しているとの説明があった。なんとも健康的なのである。なお、コーヒーは明治政府が栽培を奨励したが、現在は父島、母島ともに 1軒しか栽培していないそうだ。
  5. 母島診療所では、外科医、歯科医ら 5名体制で診療にあたっており、重症患者はヘリで硫黄島に運び自衛隊機で羽田に向かい、待機救急車で都内病院に搬送するとの説明があった。4 から 5時間もかかるそうだ。日本における遠隔医療システムの導入は待ったなしなのだが。
  6. 清見が岡鍾乳洞では、海底火山の噴火によるのに母島の形成が父島と違って石灰岩の岩盤を抱えていることを知って欲しかったとの説明であった。御幸之浜には 5000万年前の貨幣石があるなど地質学的にも興味をそそられる。
  7. ウミガメ産卵場では、アオウミガメ人工産卵浜と孵化場を見学 し、4日目の「ウミガメレクチャー」に備えることになった。展示水槽には昨年生まれたアオウミガメの子ガメが泳いでいた。

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○ [3日目:7月 22日(水) 晴れ]

今日は皆既日食を体感する日である。朝から日差しは強いが、上空に点々と真っ白な積乱雲の子どもが沸いているのが気になる。さて、一行は遊漁船、RYOUTOKU丸と秀洋丸に分乗し、母島沖南南西 20海里の太平洋上の皆既日食エリアを目指す。目的地でエンジン停止。じっと時が来るのを待つ。遠く南西海上には海上保安庁の巡視船が停泊しているようだ。


カウントダウン、11時 22分 38秒頃に太陽の欠片がわずかに空に引っかかって、静かだがスピードを増して空から光が消えて行く。西の地平線が夕焼けのように染まっているではないか。東の地平線を見ると西の地平線よりはやや明るく、朝やけのようだ。気温までもが急速に奪われてゆく。24分 30秒、ついに太陽は消えた。寸前にまず、太陽の西斜め下方に金星が現れた。続いて、太陽の東斜め少し下に水星が現れた。


太陽が消える頃から海上を強い風が西の方から北へ渡ってゆく。同時に気温がどんどん下がってゆく。風が起こる直前に黒い影 (本影錐) が通り過ぎてゆくのを感じた参加者もいたようだ。皆既日食も終わり暫くして、西の海上上空の雲から竜巻が上がっているのが確認でき、見事に写真に収めることができたが、史上初ではないだろうか。

母島評議平の陸上班によると、このとき気温は日食開始前の 34℃から 28℃に下がり、日食終了時には 36℃まで上昇したとの報告があった。母島では食率は 99.7%であるから海上班が感じた気温差はもっと大きいに違いない。また、陸上班によると日食の最大時には周囲がうす暗くなりはじめると小鳥たちが騒ぎたてるように鳴き出し、一度静かになったのち、再び騒ぐように鳴き出したとの報告があった。瞬時に夜がやって来て朝になったと錯覚でもしたのだろうか。うす暗くなりはじめると周囲の自動販売機や電灯の灯りが自働につき暫く点灯していたという。

帰宿後に撮影班の記録を見ると、ビデオでは投影法による食の変化の様子、辺りが暗くなり水平線 360度が夕焼けになる様子、皆既日食からダイヤモンドが現れる様子が記録されていた。写真では磁気の流れまで克明に判別できるコロナやコロナの中にわずかに吹きあげるプロミネンスの様子も撮影されていた。まさに全身で皆既日食を体感することができたと言えよう。

感動さめやらぬ中、遊漁船は母島の離島である向島、平島、姉島、妹島、姪島、二子島、丸島、鰹鳥島などを船上から眺望しながら帰路に着いた。この時、鳥島の断崖上部にクロアシアホウドリの真っ白な幼鳥が数羽いるのが確認できた。また、鰹鳥島では名前のごとくカツオドリの営巣が断崖上部につくられ、成鳥にまじって幼鳥がいるのが確認できた。

夕食後に観察した夜空に巻き散らかされた満天の星空にうっすら白く浮きでた天の川は神様がくれた芸術そのものである。大きく太い安心感が横たわっているかのようである。突然、流れ星が闇から現れ、闇へと消えてゆくのが不思議に思えた。不変の美のなかに刹那の美が迷い込んだかのようである。さそり座の巨星アンタレスの赤い色も気になる奴だ。ああ、兎に角、美しいの一言である。

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○ [4日目:7月 23日 (木) 晴れ、午後一時スコール]

「NaGISA project」(注1) は、世界の沿岸域の海洋生物の多様性を継続的に調査し、その変化をデータベース化することで、海洋資源の変化や地球温暖化などの影響をグローバルに把握することを可能とし、各国政府のそれらに対する政策に役立てることを目指している。

エコカフェとしては京都大学フィールド科学教育研究センターからの提案を受け、エコツアーなどのひとつのメニューとして導入することとし、昨年6月に小笠原諸島父島州崎 (注1) で、続く 8月に宮城県南三陸町戸倉 (自然観察活用センター前) (注2) で岩礁海藻帯において海洋生物の調査を行っている。今回は皆既日食観測にあわせて父島とは島の形成史が異なる母島において調査することにした。

(注1) NaGISA (Natural Geography In Shore Areas) project の定義
(注2) 地球温暖化最前線!小笠原エコツアーの報告書
(注3) 森里海学びツアー in 志津川・気仙沼の報告書

  1. 日時:2009年 (平成21年) 7月 23日 10:00〜15:00
  2. 場所:母島北港の東側岩礁海藻帯
  3. 指導:原田百文 (京都大学フィールド科学教育研究センター・マネジャー)
    山崎俊巳 (エコカフェ運営評価委員)
  4. 参加者:8名
  5. 概要
    • 調査は大潮の時間帯が 12時半頃であることから 10時から開始することにした。
    • 母島は海草が分布していないこと、海中作業ができる参加者を欠くこと、から岩礁海藻帯の潮間帯のみで実施することにした。
    • 潮間帯は中潮帯と低潮帯の差異が不明確であることから、各班ともに高潮帯、中潮帯の 2地点にコドラートセット (1m×1m、50cm×50cm、25cm×25cm の 3つのコドラート) を設定し、高潮帯から調査することにした。
    • 参加者 8名を 1班 (山崎、松崎、森井)、2班 (原田、柳沢)、3班 (阿部、池浦、渡辺)に分け、各潮帯とも 3つの重複サンプルを採取することにした。
    • 各コドラートではコドラートの内側の様子を記録するためにデジタル撮影を行った。
    • 1m×1m のコドラートでは各班ともに標準サンプルになる種を採取するには判断に至らなかった。なお、肉眼で確認できる種の個体数は写真から後で記録することにした。
    • 50cm×50cm のコドラートでは各班ともに海藻・植物は存在しないため採取不要と判断した。
    • 25cm×25cm のコドラートでは各班ともに全ての生き物を採取した。
    • 特異な生物種または特異な環境下の生物として、潮間帯の海面下の岩に着いていた白っぽい海草のようなものと岩礁上部の断崖から湧水が流れているところに棲息していた殻の色が白い小さな巻貝などをサンプルとして採取した。
    • 採取した生き物は、班ごとに高潮帯と中潮帯の別に 0.5mm 目のフルイと 63μm 目のフルイでマクロベントスとメイオベントスのサンプルに分別した。
    • バイアル (容器) の表面に、調査日、場所、班名、潮帯名、コドラートの種類、フルイの目の大きさ(大きさの最低値を示すことになる)、参加者名を記入・表示した。
    • 中に入れるサンプルとバイアルの表示が間違わないように注意しながら、班別、潮帯別、フルイの目の大きさ別に、バイアルに入れ、濃度 5%になるようホルマリンと珊瑚片 (石灰) を加えた。
    • バイアルの数は、3班×2潮帯×2フルイ+2特異サンプルの計14 となった。なお、目視できた生物は、フジツボの仲間、ヒザラガイ、カサガイ、巻貝の仲間、カニの仲間、ムラサキイガイなどであった。

※ 他の参加者は乳房山散策 (ワダンノキなどの母島の森の植生を観察)

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○ [5日目:7月 24日 (金) 晴れ]

早朝、希望者は各自自由にバードウォッチングの散策をした。イソヒヨドリ、トラツグミ、メジロ、メグロなどが間近に観察できた。ハハジマメグロは母島列島の固有種である。かつては父島にもメグロの亜種が棲息していたとの報告があるが詳細は不明である。これまでに絶滅してしまっている鳥類は 3種 (オガサワラカラスバト、オガサワラビチョウ、オガサワラマシコ) であり、残念なことである。


母島列島はクロアシアホウドリの繁殖地の南限であるとともに、多くの海洋性海鳥の棲息や繁殖が確認されている。また、太平洋を渡る渡鳥にとっても貴重な中継地であることが知られている。


(表) 母島で見られる主な鳥類

和名IUCN レッドリスト棲息状況等
オガサワラカラスバトEX (1889) 
オガサワラビチョウEX (1828) 
オガサワラマシコEX (1828) 
オガサワラノスリ環境省EN (IB)固有亜種 (天然記念物)
ミゾゴイEN通過鳥または冬鳥
クロアシアホウドリEN、-繁殖
アホウドリVU繁殖地復元計画実施中
コアホウドリVU、EN繁殖
ハハジマメグロVU固有種 (特別天然記念物)
ミナミオナガミズナギドリVU通過鳥または冬鳥
トモエガモVU通過鳥または冬鳥
オーストンウミツバメNT繁殖
クロトキNT通過鳥または冬鳥
ヨシガモNT通過鳥または冬鳥
オジロワシNT通過鳥または冬鳥
オグロシギNT通過鳥または冬鳥
アカガシラカラスバトNT、CR固有亜種 (天然記念物)
ヒレンジャクNT通過鳥または冬鳥
クロウミツバメDD固有繁殖種 (南硫黄島)
ハシナガウグイス 固有亜種
オガサワラカワラヒワ 固有亜種
トラツグミ 戦後に留鳥
カツオドリ 繁殖
メジロ 繁殖
イソヒヨドリ 繁殖
オガサワラヒヨドリ 繁殖

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エコカフェ公式ブログによる速報

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コメント

小笠原諸島はエコカフェにとっては誕生のきっかけとなった場所でもある。島嶼の誕生は太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込むプレートテクトニクスに由来する約4800万年前の海底火山に起因し、その後の造山運動と風雨・波浪の浸食作用によって、約500万年前には海上に島嶼が出現し、現在のような小笠原諸島が形成されるに至ったとされる。

その間、不毛の島に風や波に乗って植物の種が漂着したり、風に乗って昆虫が飛ばされてきたり、鳥が飛来したり、波に漂流する樹木などに乗って小動物が漂着したり、航海を旅する船乗りが島に生き物を持ち込んだり、さまざまなルートでこの島嶼に生命の種がまかれ、偶然に定着できたものが子孫を紡ぎながら独自に種を分化させ、進化させてきたに違いない。

固有種の比率が高く、しかも絶滅の危機に瀕しているものが多いと言われている小笠原諸島の地球上でここにしかない自然は、青い海青い空の中にきらめく宝物である。そんな小笠原諸島の中にあって、雲霧帯による湿性高木が生い茂る貴重な森林を抱える母島において、美味しい空気を胸一杯に吸い込みながら、色、音、香りを愉しみながら、星空のもと宇宙と一体となり、海洋生物の調査をし、皆既日食の観測ができたことは贅沢な過ごし方に違いない。

例えば、小笠原諸島で棲息する鳥たちのうちレッドリストに掲載されている種の多くは過酷な自然環境の中でぎりぎり種を繋いでいると考えられ、地球温暖化などの気候変動に伴う島の乾燥化問題や観光化・開発化に伴う人為的な圧迫、外来種の侵入・圧迫などの個別問題などかれらの棲息環境を持続的に保全・維持していくことは永遠の課題のように思える。

小笠原諸島が世界自然遺産に登録されたとしても、第二のガラパゴスにならないように人類の叡智を結集してもらいたいものである。

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ギャラリー (写真集)

「皆既日食ツアー@2009」をご覧ください。

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関係情報

ニコニコ動画ヤフー動画で事前のご案内として、京大フィールド科学教育研究センター長の白山義久先生 (エコカフェ学術フェロー) が日食や小笠原のことについてお話されたことが動画配信された。 ぜひご覧ください!
(報告担当者:山崎俊巳)
掲載/更新日:2010年08月14日 / 編集

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